『イキマネ』とは、女性が「イキイキ」「活きる」マネジメントのこと。
組織の中で女性本来の良さが発揮できるマネジメントを目指すこの手法について、主婦力プロデューサーであり、株式会社オフィスat 専務取締役の阿部博美氏による連載記事を配信します。
(※)このコラムでは、イクボスを推進するプロジェクトメンバーによる寄稿記事を配信しています(記事一覧)。
先日ある企業の管理職の方と話していたら、自社のパートの方が今一つ物足りないとこぼしてました。
「もっと積極的に工夫してほしいんだけど、なんだか、『私はここまで』って線引いてる感じなんだよな」
よくある話ですね。
この場合は原因が2つあると思います。
ひとつは、自分で考えるクセがついてないこと。
もうひとつは、何かやったときの報酬がないこと。
多くの女性は、若い頃にアシスタント的な仕事しかさせてもらっていません。
会議に参加しても聞いているだけで、場合によっては参加すらなし。
自分の頭で考えて、何かを成功させたという体験に乏しいのです。
これは、地方に行けば行くほど顕著になります。
本社機能がなかったり、圧倒的に中小零細企業が多いためです。
わずかしかない頭脳労働のポストは、ほとんど男性で占められています。
与えられたことをソツなくこなすことにまい進していた彼女たちに、いきなり「自分の頭で考えろ」と言っても、なかなか難しいのが現実です。
もうひとつの報酬というのは、給与や賞与ではなく、「認める」という報酬です。
女性はお金や地位よりも、「自分が必要とされている」ことが一番のモチベーションになります。
「線を引かれてる」という前に、あなたが「線を引いて」いませんか?
パートだからと、諦めていませんか?
その「諦め」を彼女たちは敏感に感じ取っています。
期待されていないと感じたと瞬間に、自ら線を引くことで自分が傷つかないよう保身しているのです。
日ごろ作業をこなしていることが多い彼女たちは、褒められるチャンスも少ないものです。
決して「パートの安い賃金だからこの程度でやめておこう」最初からそう考えてる人はほとんどいません。
そう言わせているのは、実は皆さんの方なんです。
ですから、「もっとこうして欲しいのにやってくれない」と、彼女たちの裁量に任せるのはやめて、仕組み化することが重要です。
まずは、小さなことを任せてみる、小さなことについて意見を求める。
そしてそれができたら褒める、この繰り返しが何にも増して重要です。
誰にでも潜在的な能力が隠れています。
慣れておらず、発揮の仕方を知らないだけです。
うまく引き出せるかどうかは、あなたの手腕にかかっています。
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このコラムでは、組織の中で起きがちなミスコミュニケーションを軸に、様々なポイントやコツをお伝えします。ぜひ違いを知って、新しい視点を楽しんでみてください。
そして、女性たちが存分に能力を発揮でき頼もしい戦力となることで、力強い組織となるためのサポートとなればと思います。
<阿部博美・プロフィール>

大卒後人材派遣業に携わり、マスコミ・イベント業界を中心にした派遣の営業・マネジメント・教育を経験。登録のために面接した女性の数は数千人を越え、適材適所と女性のマネジメント術を身につける。社内異動によりマスコミの広告営業を経て、2003年女性視点に焦点を当てたマーケティング会社に転職。その後独立を経て2014年に株式会社オフィスatを福岡市で共同創業。マーケティングを切り口としながら、企業×女性×社会の三方よしをテーマに事業展開を行っている。2012年NPO法人ママワーク研究所設立メンバー。「女性と仕事」が一貫したテーマ。