【インタビュー】宮大輔さん|セレーノ(株) 代表取締役

[公開日] [最終更新日]2017/05/28

スタッフが働きやすい美容室を追求

【インタビュー】宮大輔さん|セレーノ(株) 代表取締役
今回のイクボスインタビューは、福岡県北九州市で美容室を4店舗経営するセレーノ株式会社の代表取締役・宮大輔さん。2016年9月、美容業界から初めて、イクボス中小企業同盟に加盟されました。

2011年の部門当時(前会社の1つのプロジェクト)から、「美容師が幸せに働くことができるお店づくり」をモットーに、スタッフが働きやすい環境を整えながら、順調に業績を伸ばしています。

インタビューには、幹部スタッフの女性3名も参加していただき、率直なご意見を伺いました。

美容業界の常識を覆す「午後5時閉店」

-美容室セレーノの勤務体制は、美容業界では画期的ですね。

宮:営業時間は、午前8時半から午後5時までです。さらに、福岡の美容室では月曜定休のところがほとんどですが、弊社は年中無休。新店舗の門司下二十町店のみ、労働条件の改善の実験(検証)として、日曜定休にしています。お客様の満足度やサービスの充実、スタッフの働きやすさ、売り上げなどすべてを考慮し、いろいろと試行錯誤を繰り返した結果、今はこの形に落ち着いています。

-従業員の働きやすさを重視するようになったきっかけは何だったのでしょう。

宮:スタッフとの会話です。私は結婚式場で働いたのち、父が経営している美容室でマネージャーとして勤務していましたが、当時約80人いたスタッフからいろんな声が聞こえてきました。

美容業界は、とにかく拘束時間が長い。朝8時に出勤し夜9時までの営業を終えたら、カットやカラーなどの技術を学ぶトレーニングを何時間もする。”自主的”な練習なので、残業代はなし。週1回の休日以外は働き詰め。有休も使えない。休みの日は寝るだけ。美容業界以外の人たちと疎遠になってしまう。。。もう、業界の悪しき慣習ですよね。そのように過酷な労働環境のため、女性スタッフの7割が結婚や出産を機に辞めていました。「自分の子どもは美容業界で働かせたくない」という言葉には、ショックを受けましたね。

そこで、「70歳以上でも働ける」「女性が人生の転機に応じて資格を活かせる」「ママでも主婦(夫)でも、扶養内で働ける」の3つを達成できる美容室を作ろうと、一念発起。2013年に前会社から分社化(独立)し、セレーノを立ち上げました。

-新しい仕組みの発想は、どこで得たのですか?

宮:マネージャー時代、マネジメントや経営の何たるかをとことん学ばせてもらいました。埼玉・福岡のさまざまな勉強会に参加させて頂き、東京・大阪・長崎・岡山・千葉などの美容室にも視察に行かせて頂きました。そこで、トップスタイリストと呼ばれる一部の人たちが活躍する現実に違和感を覚えて。スーパースターを作り上げるのではなく、スタッフみんなが輝ける職場にするべきではないかと思ったのです。その夢を形にするため、独立を決心しました。

しかし、セレーノをオープンさせたものの、理想と現実のギャップは厳しいものでした。労働環境の改善を進めようとしても、業界の慣習を変えることはとても難しかった。店を立ち上げる時、いろんな人に「絵に描いた餅」だと言われ、まさにその通りになっていました。経営もなかなか軌道に乗らず、途中でもう諦めようと何度も思いました。けれど、ここにいる古参のスタッフたちが支えてくれたのです。そして、創業から3期目に営業利益が売り上げの3割を占めるようになり、ようやく思い描いていた勤務体系を作ることに着手できました。

-スタッフの意識改革も必要だったと思います。何か具体的にされたことはありますか?

宮:まず、スタッフみんなに会社のすべてを知ってもらおうと、財務状態まで”見える化”しました。経営に関することや損益計算書(P/L)の勉強会にも参加してもらった。社員、パート、アルバイトの垣根なく、会社の問題に当事者として向きあってほしいと思ったからです。

今では、設立当時から働いてもらっている女性幹部スタッフたちが、本当に頼れる存在です。会社の目的や、ビジョンの現実化についてもスタッフと一緒に決めるようにしています。私は話し下手なのですが、言いたいことを彼女たちが代弁してくれるので助かっています。最近は、会議でもすっかり蚊帳の外ですよ。

幹部の女性スタッフたちが下支え

【インタビュー】宮大輔さん|セレーノ(株) 代表取締役

左から宮原久仁江さん、山崎繁子さん、森千絵さん



-スタッフの方に伺います。今の働き方は、自分のライフスタイルに合っていますか?

宮原さん:夕方5時に終わるというのは、本当に画期的です。以前の店では生活がとても不規則だったのですが、こちらに来て、早寝早起きが習慣になりました。ご飯もきちんと食べられるようになりましたし、遊びにも誘ってもらえるようになりました。リフレッシュできて、気持ちよく働けています。

森さん:家事がちゃんとできるようになりました。短い時間でどれだけ稼げるかが勝負なので、そこがやりがいにもつながっています。

山崎さん:以前の職場では1年目が特に忙しくて、8時半から夜中の12時まで毎日働いていました。朝練もあったんですよ。こちらでは、トレーニングを営業時間内にするので、初めはびっくりしましたね。

―美容業界では、一つのお店で長く勤務することは珍しいそうですね。ずっと続けている、続けられている理由は何でしょう。

宮原さん:若い年代でも、いろんな勉強会に行かせてもらえるので、自分自身を成長させる機会に恵まれていると思います。それに、社長が私たちのために一生懸命働いている姿を見て、「支えたい」と素直に思いました。

森さん:やはり、”人”ですね。一緒に頑張れる仲間がいて、心地いい職場です。

【インタビュー】宮大輔さん|セレーノ(株) 代表取締役
-社長は、女性スタッフに対して心掛けていることはありますか?

宮:女性スタッフに限ったことではありませんが、年に4回、働き方に関する個人面談を全員に行っています。日常的には、ざっくばらんに、何でも言いやすい雰囲気にしようと心掛けています。私は美容師ではないので、かえって専門的な要望を伝えやすいようですね。

また、毎朝6時に家を出て、全店舗を回るようにしています。現場を見ると、スタッフの様子が分かるような気がするんです。例えば、いつもより整頓されていなかったら「あれ?どうしたんだろう」と。後で電話を掛けることもあります。ただ、現場のことは現場の人間が一番よくわかっているので、なるべく任せるようにしています。

美容業界のイクボス仲間、待っています!

―ところで、社長ご自身のワークライフバランスはいかがでしょう?

宮:あまり、バランスがいいとは言えないですね。金曜が休みなのですが、つい店のことが気になってしまって。

スタッフ一同:だから、金曜は社長に絶対電話を掛けないようにしています。ちゃんと休んでほしいので。

―最後に、職場の環境改善に二の足を踏んでいる社長にメッセージをいただけますか?

宮:私は、人からチャンスとご縁をいただきました。いろんなことを聞いて、いろんな本を読んで、素晴らしいチャンスをつかまえてください。自分が行動すれば、必ず変わります。

私も初めは苦労しましたが、やはり、スタッフがいきいき働いていると、お客様にもそれが伝わるのです。諦めないでよかったなと、今、心の底から思っています。

これからは特に、美容業界の方々にどんどん”イクボス”に入ってきてもらいたいですね。期待しています!

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宮社長、スタッフのみなさん、ありがとうございました。

2020年までに、北九州市で20店舗を構えることが目標と話す宮社長。力強い女性スタッフとともに、お客様もスタッフも、みんなの笑顔が溢れる美容室がどんどん広がっていくことでしょう。
これからの展開が、とても楽しみです。

【インタビュー】宮大輔さん|セレーノ(株) 代表取締役
<企業情報>
  • 企業名:セレーノ株式会社
  • 代表取締役:宮大輔
  • 所在地:福岡県北九州市(市内4店舗運営)
  • URL:http://www.at-ml.jp/70076/